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労働安全衛生法の改正により熱中症対策が企業の法的義務となった今、多くの製造業や物流業の経営者が「具体的に何をすべきか分からない」「対策を怠ると本当に罰則があるのか」といった不安を抱えています。実際に対策不備による労働災害が発生すれば、企業は刑事責任だけでなく民事責任も問われ、場合によっては事業継続すら困難になる深刻な事態に発展します。

本記事では法的義務の詳細から実践的な対策方法まで、企業が今すぐ取り組むべき熱中症対策のすべてを解説します。

 

企業に課せられた熱中症対策の法的義務と違反時の罰則

令和7年(2025年)6月の労働安全衛生規則改正により、事業者には職場での熱中症対策が法的義務として課せられました。違反した場合、労働基準監督署による是正勧告や改善命令、最悪の場合は刑事罰の対象となる可能性があります。特に製造業や物流業では高温環境での作業が多くなりがちのため、適切な対策を講じなければ企業経営に影響をおよぼすリスクが存在します。

労働安全衛生法改正による具体的な義務内容

改正された労働安全衛生規則では、事業者に対して暑さ指数(WBGT)の把握と熱中症患者が発生した場合の報告体制の整備・周知、ならびに熱中症の悪化防止措置の準備・周知が義務付けられています。

具体的な対応としては、暑さ指数が28度を超える作業場所では、厚生労働省のガイドライン等に基づき、作業時間の短縮や冷房設備の設置、十分な休憩時間の確保などの熱中症予防対策が推奨されています。また、作業者への熱中症予防教育の実施や熱中症の初期症状を見逃さないための健康管理体制の構築も重要です。

これらの義務や推奨される対策を怠った場合、労働基準監督署による立入調査の対象となり、改善指導や是正勧告を受けることになります。重大な違反と判断された場合は、事業停止命令や送検といった厳しい処分が科せられる可能性もあります。

違反時に企業が受ける罰則の種類と重さ

熱中症対策義務の違反に対する罰則は段階的に運用されており、違反の程度や継続性によって処分内容が決まります。

初回の軽微な違反では、労働基準監督署による口頭指導や文書による改善指導が行われますが、改善が見られない場合や重大な違反が認められた場合は、是正勧告や使用停止命令などの行政処分が発せられます。

さらに、是正勧告等に従わず法令違反が続いた場合には、労働安全衛生法違反として刑事罰の対象となり、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、熱中症による労働災害が発生した場合には、損害賠償責任を問われたり、企業の社会的信用失墜による経営への長期的な影響も考慮しなければなりません。近年では労働災害に対する社会の目も厳しくなっており、一度の事故が企業存続に関わる重大な問題に発展するリスクも高まっています。

 

製造業・物流業が直面する熱中症リスクの実態

製造業や物流業の現場では、高温多湿な環境での長時間作業が日常的に行われることが多く、他の業種と比較して熱中症発生リスクが格段に高い状況にあります。

熱中症リスクが高まる作業環境の特徴

製造業では溶接作業や鋳造工程、大型機械の稼働により作業場内の温度が上昇しやすく、特に夏季には室温が40度を超える環境も珍しくありません。加えて、防護服や安全装備の着用により体感温度がさらに上昇し、熱中症発症のリスクが増大します。

物流業においても、倉庫内での荷役作業や配送トラックでの長距離運転など、高温環境での重労働が避けられない状況があります。特に、冷房設備のない古い倉庫や直射日光下での積み込み作業では、短時間でも危険な暑さ指数に達することがあります。

これらの業界では人手不足も深刻化しており、限られた人員で作業をこなすため休憩時間の確保が困難になりがちです。結果として、疲労蓄積と高温環境の相乗効果により、熱中症発症リスクがさらに高まる悪循環が生じています。

過去の労働災害事例から学ぶ教訓

厚生労働省の統計によると、製造業と建設業で発生する熱中症による労働災害は全体の約6割を占めており、死亡事故も毎年複数件報告されています。

代表的な事例として、金属加工工場での溶接作業中に作業者が意識を失い、救急搬送されたものの重篤な後遺症が残ったケースがあります。この事例では、適切な休憩時間の設定や水分補給の徹底が行われておらず、企業は安全配慮義務違反として民事責任を問われました。

また、物流センターでの荷役作業中に発生した熱中症事故では、暑さ指数の測定が行われておらず、危険な環境での作業継続が事故の原因とされました。この企業は労働基準監督署から是正勧告を受け、設備改善と管理体制の見直しを余儀なくされています。

 

効果的な熱中症対策の具体的実施方法

法的義務を確実に履行し、労働者の安全を守るためには、計画的かつ継続的な熱中症対策の実施が不可欠です。

暑さ指数(WBGT)の正確な測定と管理体制

暑さ指数の測定は熱中症対策の基本となる重要な業務であり、専用の測定器を用いて定期的に実施することが事業者に義務付けられています。

測定は作業場所ごとに行い、特に気温が高くなる午後の時間帯は頻度を増やすことが厚生労働省のガイドラインで推奨されています。13回以上の測定も推奨事項のひとつです。

測定値が28度を超えた場合は、速やかに適切な予防措置を講じることが求められます。また、31度を超えた場合は、ガイドラインに基づき作業の中止や十分な冷房設備のある場所での作業への変更など、より厳格な対応が推奨されています。

測定データは記録として保管し、労働基準監督署の調査時に提示できるよう整備しておくことが重要です。また、測定値に基づいた作業計画の見直しや、危険度に応じた注意喚起を行う管理体制の構築も必要になります。

作業環境改善のための設備投資

根本的な熱中症対策として、作業環境そのものの改善に向けた設備投資が極めて効果的です。

大型の工場や倉庫では全体空調が理想的ですが、コスト面から困難な場合はスポットクーラーや大型扇風機の設置により局所的な環境改善を図ることができます。特に、高温となりやすい作業場所には移動式のスポットクーラーを配置し、作業者が常に涼しい環境で作業できるよう配慮します。

また、屋外作業が多い場所では、日除けテントの設置や保冷庫の活用により、休憩時に体温を効率的に下げられる環境を整備することが重要です。作業者個人レベルの対策としては、小型扇風機を内蔵した空調服の着用も効果的で、特に重労働や長時間の屋外作業では体感温度を大幅に下げることができます。これらの設備投資は初期コストがかかりますが、労働災害による損失や法的責任を考慮すれば、必要不可欠な経営判断といえます。

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作業者への教育と健康管理の徹底

設備面の対策とあわせて、作業者一人ひとりの意識向上と健康管理も重要な要素となります。

定期的な安全教育では、熱中症の症状や予防方法について具体的に説明し、異常を感じた際の報告体制を明確にします。特に新入社員や高年齢者、持病のある作業者については個別の配慮が必要であり、体調管理シートの活用や定期的な健康チェックを実施します。

水分補給についても、のどの渇きを感じる前の定期的な摂取を徹底し、塩分補給もあわせて行うよう指導します。作業開始前の体調確認と、作業中の相互監視体制により、初期症状の早期発見と迅速な対応を可能にする組織作りが求められます。

 

緊急時対応と継続的改善のポイント

万が一熱中症の疑いがある症状が発生した場合の対応体制と対策の継続的な見直し方法について整理します。

熱中症の疑いがある症状と適切な初期対応

熱中症の疑いがある症状として、軽度ではめまいや立ちくらみ、頭痛、だるさ、吐き気、筋肉のつりやけいれんが現れます。中等度になると体がぐったりして力が入らない、異常な発汗や皮膚の熱感が見られ、重度では意識障害や体のひきつけ、まっすぐ歩けないなどの危険な症状が現れます。

これらの症状を発見した場合、まず意識の確認を行い、意識がない場合はただちに救急車を要請します。意識がある場合は涼しい場所に移動させ、衣服を緩めて首筋や脇の下、太ももの付け根を重点的に冷却します。水分補給は意識がはっきりしている場合のみ行い、嘔吐している場合は誤嚥防止のため避けることが重要です。

初期症状は「いつもと感覚が違う」「ぼーっとする」など気づきにくいことも多いため、日頃から作業者同士の相互監視体制を構築し、少しでも異常を感じた場合は迅速に対応できる社内連絡体制の整備が不可欠です。

対策効果の検証と改善サイクル

実施した熱中症対策の効果を定期的に検証し、継続的な改善を図ることで、より確実な安全確保が可能になります。

月次での暑さ指数データの分析や、作業者からの意見収集により、現在の対策の有効性を客観的に評価します。特に熱中症による体調不良の報告件数や、作業効率への影響を数値化して把握することが重要です。

季節の変わり目や設備の更新時期には対策内容の見直しを行い、新たなリスク要因の発見や対策手法の改良を継続的に実施します。他社の成功事例や最新の対策技術についても情報収集を行い、自社の環境に適した方法を積極的に取り入れる姿勢が求められます。

熱中症対策は一度実施すれば完了するものではなく、環境変化や法改正に応じて柔軟に対応していく継続的な取り組みです。適切な設備投資と管理体制の構築により、法的義務の履行と労働者の安全確保を両立させることが持続可能な企業経営の基盤となります。

 

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